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研究

自励振動高分子ゲルが発現する高調波共鳴や引き込みなどの発見

2024.04.10学部 大学院

無生物でありながら、複雑な「生命のような」または生体挙動を模倣するスマートポリマー材料は、非平衡条件下で生命システムがどのように機能するか理解を深めるため、研究の焦点となってきました。化学的および機械的結合がどのようにして他の細胞や外部環境との共鳴・共振(resonance)や同期(synchronization)・引き込み(entrainment)を引き起こすのかを明らかにすることは、重要な研究課題です。当専攻の吉田亮教授らは、振動反応であるベローゾフ・ジャボチンスキー(BZ)反応の化学エネルギーを機械振動に変換する「自励振動ゲル(self-oscillating gel)」を開発しました。そしてこの度、英国・Reading大学との共同研究により、このゲルに外部から機械的刺激を周期的に加えると、刺激の基本周波数またはそのn倍または(1/n)倍の高調波による共鳴を生じることが見つかりました。そのときシステムは共鳴振動周期を「記憶」し、刺激除去後もそれを維持することもわかりました(引き込み効果)。これらの発見は、生物システムの機能と非平衡物理化学を橋渡しし、より単純な生物模倣化学物理システムを用いて複雑な生物学的問題を研究する道を開くのに役立つと期待されます。本研究はPNAS誌(www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.2320331121)にて49日にオンライン公開されました。