卒業生インタビュー

世界一を意識すること。 そしてまだ見ぬ世界の ライバルたちを意識すること。
谷 和樹<
谷 和樹Kazuki Tani
2007年 学部卒業
2009年 修士課程修了。
同年、株式会社日立製作所に入社。
「10年、20年後の未来につながる価値の創造」を目標に設立された中央研究所にて、通信技術分野の基礎・基盤研究を担当。
霜垣研究室所属
株式会社日立製作所 中央研究所
通信エレクトロニクス研究部
技術研究組合光電子融合基盤技術研究所(PETRA)研究員

谷さんは企業内研究員として、 国家レベルの研究プロジェクトにも参加されていますね。具体的にはどんな研究なのですか?

現在、国が進める世界のトップを目指す先端的な研究開発プログラム(通称FIRST)の1つ、光を用いた半導体集積回路の研究に、マテリアル工学科の和田一実教授をはじめ、様々な企業や大学と共同で取り組んでいます。私が担当するのは、ゲルマニウム発光素子という、本来光りにくい特性を持つゲルマニウムを光らせる研究です。実は日立では、プロジェクトが始まる前の2006年頃から、ゲルマニウムと同様に光りにくいシリコンを原子10層程度の厚さにすることによって発光効率を上げる、という研究を独自にスタートさせていました。私は2009年に入社したのですが、これらの半導体素子製作については、ここで一から鍛えられました。今は素子の設計や、「シリコンをここで何nm(ナノメートル)に薄くして、どの膜を何nmつけて」といったプロセスの設計も行います。

研究のどんなところに楽しみや、やりがいを感じていますか?

基本的に全部楽しいです(笑)。世界のトップを目指す研究をやっていて、毎日新しい発見がありますから。一方で、材料の限界を乗り越えるという、非常に難しいテーマでもあるので、どうやったらより良くなるか、というアイデアを毎日考えていますね。実際にやってみても上手くいかないことの方が多いですが、未来の革新的な技術開発に携われるのはとても魅力的です。

後輩たちにメッセージをいただけますか?

将来研究者の道を選ぶなら、世界一を意識して欲しいと思います。やはり研究の世界では、他の人と同じことをしていては評価されません。まず、世界のどこがトップに立っているか、そして自分はその研究を追い抜けるのか、追い抜けないなら別のアプローチは何か、と考えることが重要です。未だ見ぬ世界のライバルを少し意識しておくと、自分がどのような研究をすべきかを見きわめる上できっと役に立つと思います。

(2013年2月取材)

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