卒業生インタビュー

ここで学んだ知識と経験が自分の可能性と発想力を高めてくれた
大坪 浩文<
大坪 浩文Hirofumi Ohtsubo
2003年 マテリアル工学科 卒業
2005年 マテリアル工学専攻 修士課程修了
同年 JFEスチール株式会社へ入社
マテリアル工学科では菅野研究室に所属

ご自身のお仕事について教えてください。

私は、鉄鋼メーカーの研究所で、建築物や発電・化学プラント等の大型構造物に使用される厚鋼板や形鋼と呼ばれる鉄鋼材料の材質設計に関する研究開発を担当しています。強度や伸び、靱性に加えて、疲労特性や耐食性なども要求されるため幅広い知識が必要です。主にミクロ組織制御を通じて所望の特性を発揮できるように、最適な合金成分設計や製造条件を実験室で検討し、実機ラインでの製品製造に繋げていく仕事をしています。

鉄鋼メーカーの研究職を選んだきっかけは?

大学では、銅合金の高温延性に及ぼす微量不純物の影響について研究しました。当時の研究室では鉄鋼やアルミニウム合金の水素脆化も検討しており、わずか数ppmの水素や不純物元素が様々な機械的特性に影響していることを知りました。鉄鋼材料はインフラや大型構造物など社会の安心・安全を支える重要な素材であり、そのような材料を一から造ることを通じて、社会に貢献できる仕事に携わりたいと考え入社を決めました。

ここで学んだことはどのように生かされていますか?

熱力学、状態図、電気化学、転位論、材料力学などの材料設計に欠かせない理論や基礎知識を身につけることができ、現在の業務でも大いに役に立っています。特に研究室では、不純物の影響を明確にするために、高純度銅合金を自分で溶解・鋳造・塑性加工し、旋盤で引張試験片を造るなど苦労しながら実験していたことが思い出されます。最終的な材料のパフォーマンスを決めるのは、”原料から製品に至るまでの各段階での成分や組織の精緻な制御”であることを学んだことが今でも財産です。

学生へのメッセージをお願いします。

マテリアル工学科では、金属材料、セラミックス、半導体、ポリマーなど様々な材料の基礎を学んだ上で、興味を持った材料を深く研究することができ、社会に出てからも応用範囲が広い学科だと思います。他分野・材料の基礎を知っていることが、自分の引き出しを増やし、発想を豊かにしてくれると信じています。

バイオマテリアルコースに戻る