卒業生インタビュー

材料科学とプロセス工学の 両輪を使いこなして、 環境問題に貢献したい
松浦 宏行<
松浦 宏行Hiroyuki Matsuura
2001年 学部卒業
2003年 新領域創成科学研究科 物質系専攻修士課程修了
2006年 新領域創成科学研究科 物質系専攻博士課程修了 博士(科学)
2006-2007年:米国Carnegie Mellon University Research Associate
2007年から東京大学大学院新領域創成科学研究科物質系専攻において
助教、講師を経て、2012年より現職
マテリアル工学科では月橋研究室に配属

先生の「高温マテリアルプロセス」の研究は、どのように環境に貢献するのでしょうか?

製鉄というのは巨大産業ですから、CO2 排出量の削減、エネルギーの有効活用、リサイクルなど、環境に関わる要請は数限りなくあります。これらの問題を「高温マテリアルプロセス」という切り口から考えるのが、私の研究です。

具体的には、基礎面から、高温の炉内での反応速度や精錬反応がどこまで「きれいに」進行しているか、溶けているものの性質を原子構造から解明できないかなど、複雑な反応プロセスを物理・化学の両面からサポートします。

応用面ではリサイクル技術の開発。例えば鉄スクラップのリサイクルでできる「ダスト」と呼ばれる副産物の活用です。処理して廃棄するには1 トン2 万円程かかりますが、ここに含まれる亜鉛は逆に1 トンが25 万円。高温プロセスを用いて高純度で亜鉛を回収できないかという、誰も成功していない世界初の技術開発に、改めて取り組んでいるところです。

マテリアル工学科へ進む学生へ一言、お願いします。

学生時代、自分で主体的に学問や研究に没頭できると、「これだけはやった」という自信を持てますね。その経験があれば、社会に出ても頑張れます。学生にも「集中と切り分け」と言っています。遊ぶことももちろん大事ですからね。 マテリアル工学科の研究フィールドはサイエンスからエンジニアリングまでとても広いので、新しいテーマに積極的に挑戦して欲しいですね。化学や物理から体力勝負まで( 笑)、ワクワクするような面白いテーマがたくさんあります。研究する中で、「材料科学」と「プロセス工学」の面白さを学び、新たな視点でプロセス面から環境問題に取り組んでくれるような学生に沢山来てほしいですね。

(2015年1月取材)

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