再生医療における重要な三要素は、細胞・シグナル・足場である。その中でも足場は工学の貢献が重要となる。鄭教授・酒井助教はゲルという材料に着目し、新たな概念に基づいた足場材料を開発している。生体軟骨を凌駕する強度を持つゲルは、足場材料として大きな期待が寄せられている。
構造材料の進化は、構造体やインフラの性能や安全性、環境性能を向上させ、人々の生活や産業・経済の発展、持続可能社会の構築を促す。小関教授は、革新的鉄鋼材料の研究開発、マルチマテリアル構造体のための異種材料接合の研究、計算科学とビッグデータを融合した革新的構造材料設計システムの開発を進めている。
イオンの移動を用いた新しい原理に基づく「原子スイッチ」は、半導体トランジスタ型に比較して高集積化と低消費電力化を実現する革新的デバイスとして期待されている。山口教授は、簡単な構造でありながら状態を「記憶」したり「忘れる」ユニークな特性を活かした脳型素子への応用など、イオン移動型デバイスのもつ新しい可能性を探っている。
失われた身体機能を代行する人工臓器は、新たなマテリアルの開発によって、さらなる機能の向上が見込まれる。石原教授の開発する生体親和性の高いMPCポリマーによる界面改質技術は、各種人工臓器の高機能化や長寿命化に大きく貢献している。
ものづくりで世界をリードする我が国にとって、社会基盤材料の製造プロセス合理化・循環促進は重要な使命。中でも、微視的・巨視的な反応解析と駆動力の見極めが鍵となる。森田教授は、鉄鋼や太陽電池用シリコンの精製におけるプロセス革新、副生成物の高付加価値化・再利用促進のための物理化学的研究を進めている。
2000年代に入ってグラフェンと呼ばれるカーボン系新素材が発見され、数年のうちに電子・光学特性、さらには機械的特性に至るまで既存の材料を凌駕する特性が明らかになった。今、長汐准教授は、グラフェンの電子の移動速度が非常に高い特性を活かした超高速トランジスタへの展開を進めており、デバイスの未来を劇的に変えようとしている。
高井教授が手掛けるわずか数センチのバイオチップによる診断デバイスは、ごく少量の血液から短時間での診断を可能にし、患者への負担の軽減に貢献。この開発でこれまで以上に様々な病気の予防・診断・早期治療に大きな期待が寄せられている。
社会生活を支える様々な製品や構造物に使われている材料は時間とともに劣化する。そのため材料を長期間安全に使用することが課題となっている。榎教授は、種々の材料やデバイスの破壊メカニズムの解明、微小な欠陥を検出する非破壊評価手法の開発、材料の時間依存の性能を予測する手法に関して研究を進めている。
半導体集積回路に高速な光を組み込むシリコンフォトニクスに世界が注目。スパコン級のスマホや人工知能が身近になるなど、これまでは想像も出来ないような新時代がそこまで来ている。和田教授は、この分野の草分けの一人として特定の光をトラップする共振器やシリコン上のGeレーザなどのデバイスの研究を進めている。
薬や遺伝子を内包した数10~100ナノメートルのカプセルを体内のがんの病巣に直接届け、副作用の少ない身体にやさしいがん治療を実現。片岡教授の開発した抗がん剤内包高分子ミセルはナノテク先端医療の先駆けとして実用化が目前に。
薬後藤教授・醍醐准教授は、社会における素材のフローとストックを見える化し、持続可能な方法で資源を使用する社会の在り方を研究。松野准教授は、「有機王水」を用いた使用済み電子機器からの貴金属のリサイクルシステムの開発に取り組む。社会の仕組みと技術の両輪で、限られた資源に配慮した社会づくりを牽引。
再生可能エネルギーの代表格、太陽光発電。ハロゲン化金属ペロブスカイト型半導体が薄膜太陽電池技術に新たなブレークスルーをもたらそうとしている。近藤教授は、基礎からこの革新的マテリアルの研究を立ち上げた第一人者。薄膜太陽電池の爆発的発展を目指して研究を進めている。
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