バイオマテリアルコース

高度で豊かな、医療環境社会の実現をめざして

 

01 先端医療の発展に貢献する新たなマテリアルの創製

私たちは、細胞 /DNA/ タンパク質といった生体の機能としくみの理解、マテリアルのナノプロセッシング技術の開発、ナノスケールでのマテリアルの機能・構造解析を通して、目的の機能に応じた人に優しいバイオマテリアルの創製と、それを用いた医療システムの構築に取り組んでいます。

Bio materials

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  • 失われた身体機能を代行する人工臓器は、新たなマテリアルの開発によって、さらなる機能性向上、高寿命化が期待されています。
  • わずか数センチの診断デバイスは、ごく少量の血液で診断でき、患者の負担が少なくてすみます。更に数分で結果を出す事ができ、様々な病気の予防・早期治療を可能にします。
  • 数10~数100ナノメートルとごく小さなカプセルに薬や遺伝子を内包し、体内の目的の場所に届け、副作用の少ない抗がん剤治療が可能になります。
 

02 マテリアル工学のパイオニア紹介 片岡 一則 教授 

「夢が現実になる。 ナノとバイオが起こす医療革命」

近年、生体内が分子レベルで解明されてきたことに加え、ナノレベルでの微細加工技術が急速に発展。このナノとバイオの融合から生まれた新しい領域が今、未来型の医療を現実のものにしようとしている。そしてその中核を担っているのが片岡一則教授である。それは体内をナノサイズで薬を運ぶカプセルの開発。健康な細胞を傷つけることなくピンポイントで患部を治療。課題の多かったがん医療の現場に大きな光明をもたらした。そして片岡は語る、まだまだ一里塚だと。今後は遺伝子治療、そして核酸医療、さらには人工ウイルスの開発をめざす。 彼の夢は終わらない。

片岡一則 教授

ナノメートルのテクノロジーが医療の新たな未来を拓く

研究テーマはナノバイオテクノロジー。ナノバイオテクノロジーは、物質をナノスケールで制御するナノテクノロジーと、バイオテクノロジー(生物工学)を融合させた新しい医療領域である。研究ではナノスケールで構造をデザインしたナノカプセルを創出し、薬を患部に的確に届けるドラッグデリバリーシステムに活用するなどナノバイオテクノロジーの医療応用の研究を推進。今後はこれをさらに拡げ、診断から治療までのトータルな医療システムの構築をめざしていく。また世界に先駆けて設置された工学・生命科学・医学といった異なる分野を融合し、未来型の医療システム開発に挑む最先端研究開発支援プログラム(FIRST)「ナノバイオテクノロジーが先導する診断・治療イノベーション」での研究にも大きな期待がよられている。

片岡一則 教授2

03 先輩からのメッセージ

小俣 力也 2005年 学部卒業 2007年 修士課程修了 テルモ株式会社研究開発本部にて医療用素材・医療用デバイス表面処理 技術開発に従事

学生時代に培った知識と経験を活かそう

医療技術の進歩は日進月歩です。患者さんへの苦痛が少ない低侵襲治療技術、病気の早期診断技術、予防医療など医療デバイスの進歩がそれを支えています。それに伴って、医療 デバイスにはより高度な機能が要求されるようになってきています。即ち、表面の血液適合性や低摩擦性、薬剤徐放性や効率的な患部への到達性、生体分解性、細胞増殖性といった医療デバイス特有の機能の他、デバイスの小型化・高耐久性のための優れた力学特性、耐劣化性といった特性を含めて高いパフォーマンスを発揮できるバイオマテリアルへの期待が高まっています。マテリアル工学科では、これら高いハードルへチャレンジする魅力的な研究が実施されており、そこでの経験や様々な人との繋がりは私にとって大きな財産となっています。本学科での経験をベースに、患者さんへの苦痛を和らげ、QOLを向上させる「人に優しい医療」を目指した素材開発に取り組んで参ります。

Creation for Creation