卒業生インタビュー

創造への挑戦 Creation for Creation

最先端産業の中枢で活躍する本科卒業生たち。彼らはマテリアル工学科で培った叡智を活かし、それぞれので分野で新しい社会の創造に取り組んでいます。今、その熱い想いを語ってもらいました。

バイオマテリアルコース 卒業生インタビュー

マテリアル工学の知識を活かして世界の人々の日常を豊かに

― ご自身の仕事内容についてわかりやすく教えてください。

私は、ASEANや中華圏をターゲットとした衣料用柔軟仕上げ剤の香り開発を担当しています。香り開発は、数千種類の香料を調合して香りをつくるパフューマー( 調香師)と、香りの方向性を決めて評価をするエバリュエーター(評価者)という2つの専門職が協力し合って進めます。私はエバリュエーターとして、商品像や使用ニーズに合わせた香りを設計しています。現地家庭への訪問調査を自ら行うなど、評価・調査等の試行錯誤を経て香りが完成します。

― 化学メーカーの研究職を選んだきっかけは?

学部時代は再生医療の生体材料(ハイドロゲル)、大学院では核酸(pDNA)医薬品を研究対象としていました。進路選択にあたり、「消費者により身近な製品の研究開発に関わりたい。人々の日常生活をより豊かにしたい。」という思いを胸に就職を決めました。

― ここで学んだことはどのように生かされていますか?

今の仕事では、におい物質の物性や、衣類上での挙動の理解はもちろんのこと、人のにおいの感じ方や気持ちを理解することも大変重要です。そこで、有機材料の化学的知識以外にも、生物学・心理学など幅広い知識の習得に努めています。在学中は苦手分野の習得に苦労もしたのですが、「理解できた」と実感できるまで先生や友人に質問して学びました。その知識は、社会に出てからも非常に役立っています。

― 学生へのメッセージをお願いします。

世の中の全てのものはマテリアルから出来ています。"もの"を、物理・化学・生物といった分野の枠を超えて学びたい方には、マテリアル工学科を絶対お勧めします。また、本学科の先生方は、面識のない駒場生だった私にも、とても丁寧に応対して下さいました。皆さんも自分から相談してみてください。研究室配属や就職といった大事な節目で、一人一人が納得いく選択ができるよう、学科全体でサポートする体制が整っています。

清水 美希子(旧姓上野)

2015年 マテリアル工学科 卒業
吉田研究室に所属
2017年 マテリアル工学専攻 修士課程修了
山崎研究室に所属
同 年 花王株式会社へ入社

エコマテリアルコース 卒業生インタビュー

社会基盤を支える「タフ」で「人に優しい」究極の材料を目指して

― ご自身の研究内容について教えてください。

材料の特性や性能は構成する元素だけでなく、その内部の微細構造、つまり組織によって大きく変化します。例えば自動車に使用されている材料は主に鉄鋼材料ですが、非常に強い鋼から加工しやすい鋼まで実に様々な特性を有する鉄鋼材料によって構成されています。同じ鉄鋼材料といってもその組織を変える、すなわち制御することによって非常に幅広い特性を実現できるのです。ナノ・ミクロンオーダーの析出物や結晶粒がどうやって生成するのか?ミクロン・ミリオーダーにおいて特性の異なる材料や相をどう組み合わせるのがよいのか?など様々な要素を考え組み込むことによって優れた材料を創成するための「材料組織制御」について研究しています。

― マテリアルで学んだことはどのように生かされていますか。

マテリアル工学科では鉄鋼材料やポリマー材料など様々な材料について、これらの製造プロセスから実際の使用まで、そして原子・分子から実部材まで、といった非常に幅広い知識を身につけることができます。私の場合は構造物で使用される材料を研究していますので、どのような素材をどういうプロセスで作製すれば優れた特性や性能が発揮できるのか、色々な選択肢の中から検討する際にマテリアル工学科で学んだことが非常に役に立っています。

― 学生へのメッセージをお願いします。

マテリアル工学科に入ってからまた色々な知識を得るための講義や実験などを行うことになりますが、どんどん自分のできるフィールドを広げていって欲しいと思います。特にこれからは日本国内だけで活躍するのではなく、よりグローバルな人材が求められます。その点マテリアル工学科では海外に行くチャンスが多く用意されています。積極的に海外の大学や学会に行って、自分の研究をただ発表するだけでなく、交流や議論を通じて見識を広げ、海外の人たちと戦えるような学生になってくれることを願っています。

南部 将一

2002年 マテリアル工学科 卒業
2004年 マテリアル工学専攻 修士課程修了
2007年 マテリアル工学専攻 博士課程修了
同年 マテリアル工学専攻 産学官連携研究員
2008年 マテリアル工学専攻 助教
2013年 マテリアル工学専攻 講師
2019年 マテリアル工学専攻 准教授
マテリアル工学科では榎研究室に所属

ナノマテリアルコース 卒業生インタビュー

幅広い知識と柔軟な対応力こそこれからの時代に求められる

― ご自身の仕事内容についてわかりやすく教えてください。

ナノポアDNAシーケンサという次世代DNAシーケンサ開発を担当しています。既存装置では測定できなかった長い塩基長のDNAが測定できるようになり、これまで見過ごされていた病気とゲノム情報との因果関係を明らかにすることで、生物学・医学の進歩に貢献していければと思っています。

― マテリアル工学科で学んだことはどのように生かされていますか?

最近は半導体技術を活かしたナノテクノロジーとの融合による技術発展が著しく、マテリアル工学科で学んだ基礎学問と、金属から半導体・バイオまでの知見はいまでも活きています。
人生初の研究テーマは高分子を活かしたナノ粒子合成で、当初の期待とは少し違った結果になったのですが、別の観点から見てみると別の特性が発揮されていることに気づき、追加実験と解析を加えることで、最終的に論文にすることができました。この経験から、多面的に物事を捉える事が重要であると、身を持って学ぶ事ができました。

― 学生へのメッセージをお願いします。

マテリアル工学科は、金属から半導体、そして高分子・バイオという幅広い材料に関して、基礎から先端知見まで学ぶ事ができる貴重な場所です。学部時代に既存の枠組みにあまりはまらない、様々な学問に触れていたことから、どのような分野の技術の話が来ても違和感・抵抗感なく議論に参加することができています。
学部から修士課程までの4年間は同期と共に過ごす時期でもあります。自分の専門フィールドだけでなく金属や半導体のフィールドの同期と様々な情報交換ができていたことも、現在の自分を形成する大事な下地になっていたと実感しています。時代が目まぐるしく変遷する今日、多種多様な専門知識を有し、かつ変化に柔軟に対応できる人材が求められます。マテリアル工学科はそのような体験・人材を輩出できる貴重な場所ですので、ぜひ一歩を踏み出して新しい事にチャレンジしてほしいと思います。

後藤祐介

2007年 マテリアル工学科 卒業
2009年 マテリアル工学専攻 修士課程修了
同年 株式会社日立製作所へ入社
マテリアル工学科では石原・高井研究室に所属