学科・専攻紹介

学科・専攻概要

マテリアル工学科の沿革

本学科の歴史は明治の初めに遡ります。1873年、文部省により創立された開成学校、および、1871年に工部省により開設された工学校、この二つの源を持っています。

1877年に工学校は工部大学校となりましたが、1885年までは、文部省の東京大学と二本立ての教育が行われました。工部大学校はイギリス系の教官により、東京大学はドイツ系の教官によって教育されました。工部大学校では、ジョン・ミルン先生( John Milne )とエドムンド・ナウマン先生( Edmund Naumann )が教鞭をとり、東京大学では、クルト・ネットー先生( Curt Netto )が採鉱学・冶金学の教師でした。
1886年帝国大学発足後、採鉱および冶金学科は改編、拡張を重ね、1909年に採鉱学科と冶金学科にわかれて、冶金学科としての運営が始まりました。

1964年、戦後の国内工業の急速な発展に対処するため、また、金属工業の学問分野の拡大に伴い、冶金学科の拡充改組が行われ、1967年にはすでに定員80名の大教室になっています。

1972年には、冶金学科から金属工学科へと変わり、製造と利用に関する教育に重点をおく金属材料製造コースと新しい機能材料の開発を目指す金属材料物性コースの二つを設置し、1976年には金属工学科と金属材料学科に分かれました。その後、現マテリアル工学科への布石として、1986年にセラミック材料、1988年にはガラス材料へと対象の拡張が始まり、1990年に金属材料学科は材料学科へと名称が変更されました。

1999年に、両学科は有機材料・半導体材料を含む材料全般を対象としたマテリアル工学科に統合されました。2004年からはバイオマテリアル、環境・基盤マテリアル、ナノ・機能マテリアル*の3コース制とし、幅広い領域をカバーし、現在に至っています。

※ 2014年度まではナノマテリアル。

図書室には学科創設時からの論文が今も大切に保管されています。

ロゴデザインについて

DESIGN OF FOR WITH MATERIALS

技術社会発展の基軸となる構造物やデバイスの進化には、それを構成するマテリアルの進化が極めて重要な役割を果たします。

その進化のために、物質の構造や性質をナノからマクロに至る様々なレベルで探求解明し、未知なる機能、あるいは新しい機能を持つマテリアルを創製する “DESIGN OF MATERIALS”

新たなマテリアルを生み出す革新プロセスや、環境に配慮したマテリアル生産プロセスを開発する“DESIGN FOR MATERIALS”

さらには、様々なマテリアルが構造物やデバイスとして機能するまでを考え、マテリアルの大きな循環をも視野に入れた技術をトータルに設計する“DESIGN WITH MATERIALS”

学科のロゴマークはこのコンセプトを具現化したもので、バイオマテリアル、環境・基盤マテリアル、ナノ・機能マテリアルを表すトライアングルの中心に“DESIGN OF-FOR-WITH MATERIALS”を据え、学科の透明性と様々な科学技術分野とのつながりを表すため、コーナーはオープンにしてあります。これらによって、「マテリアル工学科」は、工学のあらゆる分野のみならず、医学や薬学、理学や経済学とも連携した学術ネットワークを形成し、そのハブあるいは“ 結び目 “ となるという理念を表しています。

学科の3コース

今、さまざまな分野で日本のオリジナリティが問われています。次代を担う優秀な人材には、新しい発想と新しい方法で、新しいモノを生み出していく環境が必要です。マテリアル工学科では、この豊かな人材を育成するために、学生諸君の将来を展望しやすい3つのコースを準備しています。すでに進むべき進路が明確な学生諸君にはより具体的に、志望分野を検討中の学生諸君には最適な選択をサポートしていきます。

BIO
A:バイオマテリアルコース
失われた身体の機能を代替する人工臓器や、副作用を起こさずに患部にのみ薬を運ぶ人工ウイルスのような、私たちの命と健康を守るバイオマテリアルについて学ぶコースです。新しいバイオマテリアルの創製のための基礎として、各種材料学や物性評価法の他に、バイオ界面工学や分子細胞生物学など生命科学もカバー。これらを通して、医療技術の革新的発展に貢献する、バイオマテリアルの創製に挑戦していく素地を身につけます。
ECO
B:環境・基盤マテリアルコース
21世紀の最重要テーマである環境を念頭に置き、基盤マテリアルについて学ぶための環境・基盤マテリアルコースです。対象となるマテリアルは、最も広く使われ、絶え間ない技術革新の続く鉄鋼材料を筆頭に、金属、セラミックス、半導体、有機材料など多岐にわたります。このコースで学ぶ知識は、自動車、航空機や大型建造物の材料設計から原子レベルで制御されたマテリアルによる燃料電池や高強度材料開発まで、幅広い分野で必要とされています。
NANO
C:ナノ・機能マテリアルコース
情報化社会を支える高機能デバイス開発の鍵となる、ナノメータースケールで制御された高性能ナノマテリアルについて学ぶコースです。原子・分子レベルで高度に設計・制御されたナノマテリアルによって、従来不可能だったまったく新しい機能を実現。ナノマテリアルは、今やあらゆる機能デバイス・機能マテリアルの新たなベースとなっており、半導体や金属、セラミックス、有機材料など、ナノ・機能マテリアルコースで学ぶ知識なしには成立しない領域になっています。