3つのコースバイオマテリアルコース環境・基盤マテリアルコース名のマテリアルコース

バイオマテリアルコース

次世代の高度で豊かな、 医療環境社会の実現をめざして。

バイオマテリアルは、失われた身体の機能をできるだけ正常に近い状態に回復させるために利用するマテリアルで、人工臓器、検査診断、薬物・遺伝子治療、再生医療などで利用されます。私たちは、細胞 /DNA/ タンパク質といった生体の機能としくみの理解、マテリアルのナノプロセッシング技術の開発、ナノスケールでのマテリアルの機能・構造解析を通して、目的の機能に応じた人に優しいバイオマテリアルの創製と、それを用いた医療システムの構築に取り組んでいます。

教員からのメッセージ

「更なる先端医療へ」

人工臓器、薬物・遺伝子治療、再生医療、診断など、最先端の医療技術の発 展にマテリアルの開発が重要な役割を果たしてきたことはいうまでもありま せん。今後もより高機能なバイオマテリアルの創製が期待されています。ま たバイオマテリアル研究における材料設計・合成・解析などを通じ、材料が 環境と調和しながら組織化する過程を分子レベルでの相互作用を通して調べ ることは、生体機能の本質を解明するための重要な手掛かりを与えてくれま す。更なる先端医療技術への展開を目指し、生体と調和し、生体と同じよう な働きをする、未来のマテリアルを創ることに一緒に挑戦しましょう。

写真: 教授 吉田 亮,教授 高井 まどか
駒場総合科目バイオマテリアル入門担当
HeLa細胞へのQDインジェクション 再生医療を支える人工細胞ポリマー

耐光退色性の量子ドットを内包し膜透過性ペプチドを表面に固定化できる、毒性の無いポリマー粒子の作製に成功した。HeLa細胞内への浸透をリアルタイム観察することが可能。

ナノバイオが拓く未来型ナノ医療の創製 遺伝子を運ぶ人工ウィルス

In vivoレーザー共焦点顕微鏡(a)を用いた腫瘍組織に おける超分子ナノマシンのin situ体内薬物動態観察(b)

卒業生からのメッセージ

木下 真玲央 2007年 学部卒業
2009年 修士課程修了
味の素株式会社 食品技術開発センターにて和風調味料及び原料鰹節を開発

「諦めず挑戦し続けることの大切さ」
学生時代は、人工臓器などへの応用を目指した高分子材料の研究を行っていました。研究生活を通して、昨日までなかったものを世に送り出す価値やものづくりのために最後まで諦めず挑戦し続けることの大切さを学びました。現在は、食品メーカーで研究開発に取り組んでいます。明日のよりよい生活へ向けて、お客様がおいしく食べて健康≠ノなっていただけるよう、マテリアル工学科で学んだことを活かし、新たな素材開発にとことん挑戦し続けたいと思います。

小俣 力也
2005年 学部卒業
2007年 修士課程修了
テルモ株式会社研究開発本部にて医療用素材・医療用デバイス表面処理技術開発に従事

「学生時代に培った知識と経験を活かそう」
医療技術の進歩は日進月歩です。患者さんへの苦痛が少ない低侵襲治療技術、病気の早期診断技術、予防医療など医療デバイスの進歩がそれを支えています。それに伴って、医療 デバイスにはより高度な機能が要求されるようになってきています。即ち、表面の血液適合性や低摩擦性、薬剤徐放性や効率的な患部への到達性、生体分解性、細胞増殖性といった医療デバイス特有の機能の他、デバイスの小型化・高耐久性のための優れた力学特性、耐劣化性といった特性を含めて高いパフォーマンスを発揮できるバイオマテリアルへの期待が高まっています。マテリアル工学科では、これら高いハードルへチャレンジする魅力的な研究が実施されており、そこでの経験や様々な人との繋がりは私にとって大きな財産となっています。本学科での経験をベースに、患者さんへの苦痛を和らげ、QOLを向上させる「人に優しい医療」を目指した素材開発に取り組んで参ります。

武井 啓吾
2002年 学部卒業
2004年 修士課程修了
株式会社資生堂入社 マテリアルサイエンス研究センター高分子科学研究所にて生体適合性素材の研究を担当

私は、学生の時に生体適合性マテリアルを用いた細胞機能制御に関した研究を行い、マテリアルの設計・合成から細胞を使った評価までさまざまな知識と技術を身につけることができました。バイオマテリアルという分野はマテリアルに関する知識はもちろんのこと、生体についての知識も必要なので、学生時代に得た幅広い知識と技術は、今の私にとっての大きな財産です。現在研究している化粧品は、人々の健康と美しさを向上させる役割を担っていて、生体へのやさしさが求められるもののひとつです。マテリアル工学科で学んだ知識を活かして日々チャレンジし続けています。

山本 裕二 2002年 博士課程修了
日本油脂株式会社入社。 DDS事業開発部で PEGの研究を中心に担当

私は学生時、DDS(ドラッグデリバリーシステム:薬物の効果を最大限に生かすべく、薬物の放出や体内濃度を制御するシステム)の研究をしていました。現在はDDS用の高分子素材であるポリエチレングリコール(PEG)の研究を行っています。薬物の安定性を向上させるPEGは、DDSにおけるキーマテリアル。現在、このPEGを使用したDDS医薬品は開発段階から上市への過渡期にあり、需要は急速に増加しています。
まだ入社1年ですが、多様な構造を持つPEGの開発、製造プロセス等の検討を担当し、大きなやりがいを感じています。DDSの素材開発は、医学、薬学等様々な分野に関する知識が必要な難しい仕事ですが、デバイスを前提とした材料学の考えはこのような学際的な色合いの強い研究開発を行う中で大きな糧となっています。

長谷川 毅
2001年 修士課程修了
日本たばこ産業株式会社入社。 たばこ事業本部研究開発 統括部材料応用研究開発部で たばこフィルター用 マテリアルの研究開発を 中心に担当

私は現在、たばこのフィルターに関する研究開発を行っています。たばこの煙には数千にも及ぶ成分が含まれており、フィルター中で起こる現象も非常に複雑で、多岐にわたります。それらをミクロな視点から解明し、さらに環境問題にも十分配慮した上で、たばこにより高い付加価値をもたらすマテリアルを創出することが私の仕事の大きな目的です。学生時代には血液透析膜に関する研究をしていましたが、そこで私は実験室での成果を実用的な形にする、「モノ創り」の面白さ、大切さを学びました。それは今でも私の原動力となっています。たばこは大人の嗜好品。お客様により一層喜んでいただけるたばこ創りを目指して、これからも挑戦を続けたいと思います。